スマホの充電が大変×女性服にポケットが少ない、ふたりの願い【暮らしのプロダクトチーム】

協働プロトタイピング

「いつでもどこでも充電できるようなものが欲しい」「取り外しできるポケットが欲しい」という二つのワガママが合わさって、今回「充電ポケット(仮)」の試作品が開発された。ポケット自体は取り外し可能なものとし、衣類と充電機能の同期方法の提案を試みた。

彼女たちは、充電の仕組みについてリサーチするため、金沢大学の「磁歪式(じわいしき)振動発電」研究室に問い合わせ、また、ポケットについてリサーチするため、百貨店の紳士服テーラーを巡った。リサーチを経た後は、実際にミシンを使って、強度・機能性・デザイン性などの観点を意識しながら、試行錯誤を重ねた。

完成した試作品について、「デザイン性や機能性はまだまだですが、想像していたものは作れたので良かったなと思います」とゆうほさんは語る。また、今後の展開について、「(ポケットの)服への取り付け方法をさらに色々試したいのと、もっとデザインにこだわったポケットにしたいなって思います」とるなさんは語る。


凝り固まった世界から、足を踏み出してみた。

もともと学外のプロジェクトとかに参加したことがなくって。お誘いがあっても、結局その過程にあるしんどさとかを敬遠して、いつも通りのルーティンで日常を送ってきたんです。今回は、このままじゃいけないっていう漠然とした焦りがあったのと、湯川さんに「これ参加してみない?」って言われて、「ちょっとやってみようかな」っていう気持ちで参加しました。

おかげさまで今回、色んな人に出会えました、まじで! これまでは凝り固まった世界の中で生きてたんですけど、「あ、こんな人がいるんだ」って。なんていうか、暴走車みたいな、良い意味で常識的じゃない人もいて、すごくびっくりしました(笑)。そんな様々な人との関わりの中で、私は「隙間を埋めていったりするのが好き」なんだっていうこと、「あ、この空気はダメだな」とか、そういうのを後ろから補佐するのが好きなんだなってことにも、改めて気付けましたね。

ワガママって、言う側と言われる側で感じ方が違うのかなとは思います。自分が相手に「やってほしい」って求めたときに「いやだ」って言われたらすごく悲しい気持ちになるじゃないですか。だから、ある程度はワガママを我慢して生きなきゃいけないとも思うんですけど、でも言いたいことが言えるっていうのは、すごい大事だと思うので、これからもワガママ言えたらなって思います。

最初に感じた自由な発想をぼやけさせない、こと。

漠然と「世界に貢献できることがしたい」と思って、参加しました。結果、「自分がやりたいことが、どうしたら人のためになるか」とか、そういうことを学べたのかなって思います。例えば、私は「どこでも充電できるようなものがほしい」と思っていて、それを他の人から見てみた時、「どうその人の役に立つのか?」と考えると、「災害の現場で被災者さんのために役に立つかもしれない」など違った見方が出てきました。これってなんかすごいことだなって思います。

最初は、政府の人たちとかがSDGsの目標に達するためにどんどんいろんなことをするんかなって思ってたけど、私でもSDGsの動きに関われるんだなあって思いました。ひとりひとりがちょっとしたことをどんどん積み重ねていったら、大きな目標に到達するんかなって。何より、自分が想像しているものをそのまま実現できるっていうのが、すごい楽しかったです。

実現させるということは何事も大変ですが、「最初に感じた自由な発想をぼやけさせてしまったらいけない」と感じました。自分が今後何を思いつくかわかりませんが、その思いを大切に、カタチにし続けていきたいと思います。

(構成・文:玉城麦野)