【講座レポート】私もワガママ放題、その先に。

レポート

覗いた大人:十倉里佳

当プロジェクトの運営を担う一般社団法人リベルタ学舎のグループ企業であるなりわいカンパニー株式会社には、広報・編集事業による仕事づくりの場「WEBメディアの編集部」が存在する。

2021年5月21日(金)に開催された、STEP1教育プログラム「SDGs+事業構築基礎力を座学で学ぶ―これからの社会の基礎知識―」の様子を、編集部所属ライターがレポート……のつもりが。

「諦めることを諦めて生きよう」「自分の中の違和感に気付こう」などなどの刺激ワードにどうして客観的視点なぞ保っていられましょう。自分事なレポート、コラム形式でワガママにお届けします。

レポート取材はYouTubeのライブ視聴にて、とアドレスが送信されてきた。
皿洗いで濡れた手を拭きながら「おかあさん、仕事始まりまーす」とパソコン画面に向かう私と、それを合図に「わかったー!」とそれぞれヘッドフォンを装着し、タブレットで動画検索を始めるわが子たち。15分前までは一緒に夕食を食べていた。

40年前、自宅から片道1時間弱の職場にフルタイム出勤していた母が、この様子をみたらなんていうだろう。日曜休みの週6出勤が常識だった当時、「一緒に過ごせる時間が少なくてゴメンね」と謝られた意味が分からずに、ポカンとしたのを思い出していたら、ライブが始まった。

パワーポイントと音声で受講しながら、チャット欄も器用に動かす中高生たちに「イマドキ感」を感じつつ、日常の中で感じている彼らの「違和感」には共感しかなくて。年齢だけはしっかり重ねた私だけれど、同じようなテンションで画面の中と会話をしたくなる。


オンライン講座そのものはzoomでおこなわれていた。

地球丸ごと、いろいろヤバそうなのは感じてる。環境も経済も社会のシステムも、あっちこっちが凸凹していて変な感じだし、今年は梅雨が平年より3週間も早まったっていうのもそういう事でしょう? でもほら、見上げれば梅雨の晴れ間、太陽は変わらず眩しくて、夏の始まりを感じる風が気持ちよく吹いている、という事実。こんな日は季節を満喫しながら、のんびり機嫌よく登校したい。なのに。

髪は肩についたらふたつくくり、毎朝同じ時間に登校しなきゃならない校則ってなんなんだろう? そもそも、学校に行くのが当たり前っていうのはなぜ?

当日の会話より

SDGsはもちろん知ってる、カラフルなピンバッチのあれのこと。現状のまま時が過ぎてしまったら地球が持たない、私たちの未来が明るくない。そんなの嫌に決まってるから、持続可能な開発の社会、経済、環境の側面を統合した、人間と地球のための「やるべきことリスト」ってやつ。え? 大人任せになんてしない、だって私のことなんだから大人より危機感はあるつもり。

て、いうか。私のパソコン、立ち上がりがすごく遅いんだけどなぜ?SNSって楽しいけど、正直疲れちゃうっていうのも、なぜなんだろう?

当日の会話より

あと、今ってVUCAの時代。不安定(Volatility)で不確実(Uncertainty)、複雑(Complexity)で曖昧(Ambiguity)とかって言われているらしい。更に産業革命の歴史を振り返ったりまでしてみると、どうやら私たちは激変爆速の流れの中を生きていかなきゃいけないらしく。ブーカ、いや、ヴーカ? ……なんだかなぁ。生まれてきた瞬間こそビックリして泣いた(らしい)けれど私たちは気付いたらもう、ほぼこの空気感と速度の世界に生きているんだから、あんまりそんな実感はない。

ねぇ、そんなことより。楽器を練習できる場所ってなんでこんなに少ないの? あと、なぜ痩せていることが美しさの条件なの? ていうか、なんで太るの????

当日の会話より

……なんて、今を生きる中高生たちが心の中で思っているかどうかは定かでないけれど。

母が幼い私に罪悪感を持って働いていたらしい間も、私は私の時間を満喫していたし、「バブルに乗っかりそびれた氷河期世代」とカテゴライズされてはいるものの、そもそも乗っかっていないのだから損した感も特にない1975年生まれの私の中が強く反応した「ワガママSDGs」第1回目のプログラムだった。

私たち大人が良かれと思って次世代に継がせようとしている常識や方法の多くは、もしかしたら彼らにとって“呪い”でしかないのではないか?私がそう感じていたように。

この先さらに加速、あるいは減速しようとも、離さず持っていてねと伝えられるのは自分の中に芽生えた違和感、それを伝える手段と、シナプスが反応しあえる同じように自立した誰かの存在。それくらいかも。

どの時代の革命も、自分の中の些細なそれに気付き、「ねぇちょっとこれってさぁ」誰かと反応し合ったことから始まったんだと想像できる。いやそれ以外にどうあるっていうのか。

諦める、を知らずにきた大人たちと中高生たちのミラーニューロン。ライブ視聴の私のシナプスもしっかり反応したことだけは確かな事実。

ワガママでいることに、大人中高生も関係ないかも。